自己愛こそ本当のメンタルケアと聞くと、「自分を好きになるなんて難しい」「そんな余裕なんてない」と感じる方も多いと思います。
実際、心が疲れているときほど、自分を責めたり、足りないところばかりに目が行ってしまうものです。だからこそ、このテーマに悩んでいるあなたは、とても頑張ってここまで来ているのだと思いますし、その気持ちには深い意味があります。
たとえば、仕事で失敗が続いたときや、人間関係で気を遣いすぎて疲れ果てたとき、本当は「よく頑張ったね」と誰かに言ってほしいのに、心の中では「自分が悪いんだ」と思ってしまう。そんなとき、人は自己愛から最も遠くなってしまいます。
そこでまず知ってほしいのは、自己愛とは「自分を好きになること」だけではない、ということです。「今の自分を責めずにそっと抱えてあげること」も、立派な自己愛なのです。
小さな自己愛が心を守ってくれる
自己愛というと少し大げさに聞こえますが、実際はとても小さな行動の積み重ねです。たとえば、疲れているのに無理をしそうになったとき、「今日はここまでにしよう」と言ってあげること。これだけでも立派な自己愛です。
あるいは、落ち込んでいる自分を責めずに、「こんな日があってもいいよ」と、ただ静かに寄り添ってあげることもそうです。誰かに優しくするように、自分にも同じ優しさを向けていいのです。
「そんなことしても意味がない」と感じるかもしれません。ですが、心の傷は、一気に癒えるものではなく、こうした小さな“自分への許可”を積み重ねることで、少しずつ安全な場所ができていきます。
たとえば、朝起きて気分が落ちているとき。「今日はできるところだけでいいよ」と自分に言ってあげるだけで、心はほんの少し軽くなります。この“ほんの少し”が積み上がると、不思議なことに大きな安定につながるのです。
自分を理解してあげることが安心を生む
自己愛で大切なのは、「自分を甘やかすこと」ではなく、「自分の状態を理解してあげること」です。たとえば、人付き合いの後になぜかひどく疲れてしまう人がいます。それは決して弱いからではなく、敏感さや人への配慮が人一倍強いだけ。つまり“優しさが原因の疲れ”なのです。
しかし、多くの人はそこに気づかず、「自分はメンタルが弱い」と思い込んでしまいます。ここに少しでも気づけた瞬間、自分への理解が深まり、それが安心感へと変わっていきます。
自分を理解すると、自分の行動や感情に理由があることが見えてきます。すると、「なんでこんなことで落ち込むの?」と責めるのではなく、「ああ、今日は疲れているんだな」「これは昔の経験が影響しているのかもしれないな」と、優しく解釈できるようになります。これも自己愛の一つです。参考:メンタルケアの方法
自分への言葉が心を変えていく
人は、自分にどんな言葉をかけているかで、心の状態が変わっていきます。たとえば、「もっと頑張れ」「まだできるでしょ」という言葉ばかりを内側に向けていると、知らないうちに心は緊張でいっぱいになります。
逆に、たとえ小さな弱音でも「つらいよね」と認めてあげるだけで、心はほっと力を抜き始めます。「もう十分頑張ってるよ」この一言だけで涙が出そうになる人もいます。それは、心がずっとその言葉を求めていたからです。
自分に優しい言葉をかけることは、最初は照れくさいかもしれません。でも、心は確実にその言葉を受け取っています。自己愛とは、「自分の心に届く言葉を、自分自身が届けてあげること」です。
ありのままの自分を抱きしめてあげる
もし今、「自己愛が大切なのは知っているのに、うまくできない…」と感じているのなら、それもまた自然なことです。自己愛は“上手くやるもの”ではなく、“少しずつ育てていくもの”だからです。
たとえば、子どもが転んだとき、完璧に立ち上がるまで叱るのではなく、「大丈夫?」と声をかけますよね。同じように、自分がつまずいたときも、「また転んだの?」と責めるのではなく、「痛かったね」と声をかけてあげていいのです。
完璧じゃなくていい。自信がなくてもいい。落ち込む日があってもいい。立ち止まっても大丈夫。そうやって、自分という存在をそのまま許していくことが、ゆっくりと心を落ち着かせていきます。参考:うつ病・不安障害を治す自己コントロール感・自己肯定感・自己愛の作り方
まとめとして
自己愛とは特別なスキルではありません。むしろ、あなたの中にすでにある優しさを、自分にも向けてあげること。それが“本当のメンタルケア”の始まりになります。
まずはこの優しい導入を、あなた自身のペースでゆっくり味わってみてください。あなたの心は、思っている以上に深い力を持っています。
そして、自分を大切にしようとするその小さな気持ちは、確かにあなたを支えています。